SimPowerSystems用高速アクセラレータ ARTEMiS

スマートグリッド/マイクログリッド

SimPowerSystemsをリアルタイムにシミュレーション
リアルタイムシミュレーションには固定演算ステップが使われます。
複雑なダイナミクスをもったシステムのシミュレーションにはtrapezoidal法等が良く使われますが、これらは通常可変演算ステップで行われます。
可変演算ステップは演算の過程で次の計算ステップが決定され、シミュレーションの制御周期が細かくなればなるほど可変演算ステップの時間は長くなります。

SimPowerSystems(以下SPS)は、代数ループを解く為の繰り返し演算やスイッチング現象等にtrapezoidal法を可変ステップで使うことが多く、リアルタイムシミュレーションには不向きのツールセットと言われて来ました。

精度を上げる為には制御のステップを細かくする必要があり、ステップを細かくするとシミュレーションが長くかかります。
充分な計算時間が取れなかった場合、スイッチングプロセスで計算エラーが多くなり、シミュレーション精度を悪くする不要な高調波が発生します。

ARTEMiSはSPSのアドオンツールセットで、リアルタイム計算を早く行うだけではなく、SPS で供給されるブロックセットの演算を、リアルタイムで行います。
高周波成分をもつ回路で、trapezoidal やTustin 等の積分手法を用いる場合SPSの可変ステップで行った場合と同じ精度をリアルタイムで実現することが可能です。

通常、シミュレーションは精度を上げようと思うと演算ステップを非常に短くする必要があり、時間が非常にかかってしまいます。
ですが、ARTEMiSなら充分な演算時間を確保しながらリアルタイムでSPSの可変ステップと同じ精度を保証することが出来るのです。



なぜARTEMiSがSimPowerSystemsをリアルタイムに実行できるのか?
SPSのソルバは、スイッチがON/OFFを繰り返すごとにトポロジーの変換を行います。
この方法は精度が上がりますが、一方でスイッチの数が増えると指数関数的に状態空間の数が増えてしまいます。

通常スイッチの数がN個あれば状態空間の数は2Nとなり、この全てについてトポロジーの演算を行う必要があります。
ARTEMiSでは、このトポロジー変換を事前に行い、すべての状態空間マトリクスを前もって演算しておくことができます。
こうすることで、SPSでのスイッチング演算で起きる計算上のジッタを、回避することが可能になります。
さらに、OPAL-RTのRT-LABと併用することで簡単に並列シミュレーションプロセスを構築できます。

さらに、固定ステップの中間で起きるスイッチングイベントを補完する為の特別な補間アルゴリズムがARTEMiS内で実行されます。
この機能は等価補間を可能にするアルゴリズムで、通常時の目安としてシミュレーション時間が10倍程度速くなります。
多くのスイッチを含む回路の場合、 ON/OFFにかかる回路トポロジーの数は非常に多く、この全体の組み合わせ数は指数関数によって表現されます。
オンラインでの空間状態計算は非常に時間がかかる為、ここをどのように処理するかは、リアルタイムシミュレーションには非常に重要な要素となって参ります。
ARTEMiSはMOVカーブにpiecewise linear という直線処理を用い、シミュレーションを開始する前にすべての空間状態マトリクスを計算しておくことによって演算のスピードと精度を上げております。 

ARTEMiSでは積分演算のソルバとしてart5, art3,art3hd, trapezoidal の4種類を選択していただくことが可能です。
それぞれ精度とスピードに特徴を持っており、リアルタイムの場合では通常、art5を選択いたします。




アクセラレータとしてのARTEMiS
ARTEMiSをアクセラレータとして使用する場合、スピードの向上は下記の式で表されます。
K1(コンパイルモード)×K2(補正テクニック RT-Events)×K3(モデル分割)=速度向上


K1 Simlinkのコンパイルモードを使った場合は約5倍の速度向上が可能となります。
RealTimeWorkshopを使用したRT-LABの場合はターゲットPCで行われます。
K2 高速のIGBTコンバータ等のアプリにARTEMiSを使用した場合、固定ステップの中間で起きるスイッチングイベントの処理にOPAL-RTの補正テクニックが適用される事によって、同じ精度を保持しながらSPSだけでシミュレーションを行うより約10倍の速度向上を見込む事が可能となります。
通常SPSで、制御周期1μsecの結果と同じ精度が制御周期10μsecで得られます。
K3 RT-LABの大きな特徴にモデル分割によるマルチコアリアルタイムシミュレーションがあります。
モデルを分割することで演算スピードを上げることが可能です。

例えば コンパイルモードを使い(5倍)、RT-Eventsを使い(10倍)、モデルを4コアに分割(4倍)した場合、最大で 5×10×4=200倍の速度向上を見込む事が出来ます。




ARTEMiSと他のソルバの比較



三相整流器への適用

フルブリッジのコンバータモデルのiAの部分をモニタ





可変ステップを使用した場合のiAの部分での電流波形と高調波





固定ステップを使用した場合の電流と高調波




Trapezoidal


ARTEMiSでtrapezoidalソルバを使い固定ステップを使用した場合の電流と高調波




art5


ARTEMiSでart5ソルバを使い固定ステップを使用した場合の電流と高調波




art5 with RTE


ARTEMiSでart5を使い、更にRTEオプションをONにして固定ステップを使用した場合の電流と高調波


Gary W. Chang, Ph.D., P.E.
Department of Electrical Engineering
National Chung Cheng University, Taiwan より引用







鉄鋼プラントの圧延システムへの適用


鉄鋼プラントでの結線事例





可変ステップ使用時のDCモータ1の電流と電圧





固定ステップ使用時のDCモータ1の電流と電圧





ARTEMiSのtrapezoidalソルバを用いた固定ステップ使用時の電流と電圧





ARTEMiSのart5ソルバを使い、固定ステップ使用時の電流と電圧




可変ステップ、固定ステップ、ARTEMiSで固定ステップを使った場合の時間比較


ARTEMiSで固定ステップを使った場合、SPSで可変ステップで行ったシミュレーションと同じ精度を出すのに1/9の時間で達成できる事がわかります。

Gary W. Chang, Ph.D., P.E.
Department of Electrical Engineering
National Chung Cheng University, Taiwan より引用






3レベルPWMコンバータから生成される高調波への適用

牽引ドライブシステム単相3レベルPWMコンバータ





3レベルPWMコンバータで可変ステップ使用時のlt1の電流と高調波





3レベルPWMコンバータで固定ステップ使用時のlt1の電流と高調波





3レベルPWMコンバータでARTEMiSソルバを使い固定ステップ使用時の電流・高調波




可変ステップ、固定ステップ、ARTEMiSを使った固定ステップのシミュレーション時間比較

Gary W. Chang, Ph.D., P.E.
Department of Electrical Engineering
National Chung Cheng University, Taiwan より引用






複雑なシステムほどARTEMiSの効果は大きくなります
ARTEMiSで固定ステップを使った場合、可変ステップでのSPSを使用したシミュレーションと同じ精度を出すのに1/50の時間で達成できる事がわかります。
これらの事例から判ります様に、スイッチの数が多くなりシステムが複雑になればなるほどARTEMiSを使用する効果が大きくなります。

パワーシステムでノンリニアな負荷が多くなるにつれ、高調波は電力品質を乱す主な要因になっています。
リアルタイムシミュレータでは、精度を維持しながら処理時間を出来る限り短く(タイムステップは長く)する必要があります。
ARTEMiSはタイムステップの中間で起きるスイッチング現象を伴ったパワーシステムの離散シミュレーションも精度良く行うことが可能です。

SimPowerSystemsはThe MathWorks社のTMです。


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