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モータHIL

モータHILとは

モータHILとは

モータHILとは、実機のコントローラとコンピュータの中のインバータ・モータが、同じ時間を共有して、一体となって動くテスト手法です。
ハードウェア・イン・ザ・ループのプラント側がインバータ・モータになったものを指します。

ハードウェア・イン・ザ・ループの呼び方にはHIL、HILS、HILシステムなど様々ありますが、全て同じ意味です。ここでは、HILを用います。


モータHILの用途・利点

モータHILの主な用途は、実機モータ・インバータを作る前でも、プラント(モータ・インバータ)に実機コントローラを接続した、実機ベースに近い状態でのテストを行う事が出来る点にあります。

例えばモータ開発を例に挙げますと、通常の実機ベースでのテストにおいては、実機プラントと実機コントローラの接続試験を行う事で、プラントの課題が検出され、それを改善した次のプラントが作成されます。これを何度も繰り返すことでプラントの品質は飛躍的に向上します。しかし、何度もプラントを作る事は金銭的な負担が大きく、現場の人員にとっても事故などのリスクは無視できません。

モータHILを用いた場合、コンピュータの中に作られたインバータ・モータは、何度作り直しても製造コストはかからず、修正の時間も短くなります。テストの際においても、実機インバータ・モータの代わりにコンピュータ(HIL筐体)が実機コントローラに繋がる事で、事故などのリスクを大幅に軽減する事が出来ます。

ここではモータ開発を例に挙げましたが、他にもインバータの研究開発や、バーチャルプラントを用いたコントローラの制御ソフト検証など、様々な用途にもご利用いただけます。

モータHILとは、プラントとコントローラとの接続テストを、実物を作る前の設計フェーズの段階で行ってしまう事で、様々なコストダウンやリスクの削減を行う事の期待ができるテスト手法です。


モータHILの構成

モータHILにおける接続構成は、実機インバータ・モータの代わりにコンピュータ(以下、HIL筐体)が入ること以外は、実機ベースでの構成と変わりません。
そのため、HIL筐体側は実機インバータ・モータと同じインターフェースを備える事が出来る様になっています。更に、必要に応じて実機では出せなかった信号を外部に出すことで、テストをより円滑に進める事も出来ます。こうしたI/Oの柔軟性もHIL筐体の特徴です。

特にOPAL-RTのHILシステムOPAL-RT HILは、柔軟性の高い運用を得意とした、様々な用途に転用可能な「HILのなんでも屋」をコンセプトに開発されています。


何度でも使える・いろいろな用途に使える
OPAL-RTのOPAL-RT HILのコンセプト

OPAL-RTのOPAL-RT HILは「一度使って終わり」ではなく、様々なプロジェクトの様々な用途に何度でも使っていただくことで業務の改善のみならず、HILシステムそのものの導入のためのコストパフォーマンスも上げたいと考えて開発されております。
OPAL-RTのモータHIL RT-LABは「何度でも使える・いろいろな用途に使える」を目指し、様々な機能を開発してきました。
  • MATLAB Simulink上でモデリング可能なリアルタイム(HIL)モデル
  • 通常のリアルタイムモデルでは再現しきれないパルスを演算するRT-EVENTS機能
  • HIL筐体のCPUでは再現しきれないインバータのスイッチングやモータの電気的な特性を再現するFPGAによるシミュレーションを実現したeHS機能
  • JMAG-RTのrttファイルに対応したモータモデル
  • JMAG-RTのテーブルデータをFPGAのメモリに置かず、FPGAプロセッサのキャッシュ領域に置く事で、FPGAを更に高速演算にするMachineModel機能
  • グラフィカルな回路エディタでFPGAモデルを簡単にカスタマイズ可能なSchematicEditor機能
  • 故障シナリオも回路エディタ上でグラフィカルに簡単に編集可能

等々、これらを始めとする様々な機能を提供する事で、いちど導入したHILシステムを「1プロジェクトで使って終わり」にはせず、「様々なプロジェクトの様々な用途で、何度でも使える」ための、自由度の高い編集機能を有しています。


eHSソルバー
OPAL-RTのRT-LAB HILの強力な機能

HILにおけるFPGAを使った高速演算も、昨今では一般化してきたと言えます。
しかし、FPGAが高速演算を手にするために、様々なものを切り捨ててきた歴史があります。その代表的なものが「モデリングの簡単さ」です。
一般的にFPGAモデルは、実装にHDLコードなどの専門知識が必要とされています。また、FPGAモデルは一般的にビルドが極めて長く、数十分から長くて数日かかるものも珍しくありません。更に、FPGAモデルのビルドはFPGAの限られた領域に収まる様に最適化の処理が入りますが、これは必ず成功するわけではなく、最適化に失敗した場合、そのビルドは最初からやり直しとなってしまいます。

この課題を解消したのがRT-LABの強力なFPGA機能eHSです。
eHSは、FPGAモデルの高速演算のパフォーマンスはそのままに維持したまま、SchematicEditorと呼ばれる回路エディタでグラフィカルに回路図を描く事が出来ます。
故障テストも回路図に直接書き込むことが出来ます。

そして、eHSは回路図を変更しても、モデルのビルドが僅か数秒~数十秒で完了します。

RT-LABはeHS機能によりユーザー様のモデリングの負担を軽減し、出来る事の自由度を大幅に高める事で、「何度でも使える、いろいろな用途に使える」を実現しています。


今も大切に残され続けるOPAL-RT HILの“ハイパフォーマンスなCPUモデル”

CPU
FPGA
実行速度 高速(リアルタイム)
目安:μs~msオーダー
超高速
目安:nsオーダー
メモリのサイズ 大容量 小容量
構築可能なモデルの規模 大きい 小さい
モデリングの難易度 かんたん 非常に難しい
ビルド時間 数秒~数分 数分~数時間~数日
得意分野
大きなリアルタイムモデル
例:モータ負荷、系統・送配電網、回路など
小さな超高速モデル
例:インバータ、コンバータ、モータなど
HILモデルは必ずしもFPGAだけで構成される訳ではありません。大きなモデルを構築していくには潤沢な領域を利用できる、HIL筐体自身のCPU上で動作する従来型の「CPUモデル」も決して疎かには出来ない大切な要素です。
そうであっても、CPUはコンピュータを構成する中ではFPGAと並んで最も高価な部品です。FPGAの高速演算に特化したソリューションが流行してくると、今度はFPGAを維持する為に、CPUのランクを下げる事でコストパフォーマンスを調整せざるを得ないケースも出てきます。

しかし、FPGAのシミュレーションが「狭い範囲を超高速に演算」を得意としているのに対して、CPUのシミュレーションは「広い範囲を高速(リアルタイム)に演算」を得意としており、これらは決して同列で語れるものではありません。
FPGAはインバータやモータの電気的な特性の演算は得意としているますが、一方で、系統や複雑な負荷の計算はむしろCPUの方が得意とする領分なので、「FPGAがあるからCPUはいらない」という事には決してならないのです。



OPAL-RTのHILはCPU上でのシミュレーションもこれまで通りの高パフォーマンスを維持しており、FPGAの「狭い範囲を超高速に演算」とCPUの「広い範囲を高速に演算」を組み合わせた、高度なシミュレーションも可能で、更にそれをグラフィカルなエディタで自由に簡単にカスタマイズする事が出来ます。

CPUとFPGAを駆使した、「何度でも使える、いろいろな用途に使える」高パフォーマンスHILシステムが、OPAL-RTの提供するOPAL-RT HILです。


お問い合わせ先
株式会社 NEAT
愛知県名古屋市千種区池下1-11-21
TEL:052-764-3311FAX:052-764-3632

Opal-RT Technologies,Inc.
1751 Richardson, Suite 1060 Montreal, Quebec, Canada, H3K 1G6
TEL:+1-514-935-2323 FAX:+1-514-935-4994

* 記載の会社名および製品名は、各社の登録商標および商標です。