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デジタルツイン

HIL(Hardware in the Loop)と‘Digital Twin’

"Digital Twin"は2003年(2002年という説もある)にミシガン大学の Michael Grieves 教授が発表した概念といわれていますが、今日にいたるまでさまざまな議論がなされてきています。

"Digital Twin"には様々な解釈がありますが、リアルタイムシミュレーションやHIL(Hardware in the Loop)の分野で取り上げる場合には、内容はある程度限定されてきます。
一例として、ハードディスクのミラーコピーについて考えてみます。
定期的に更新されるハードディスクのコピーは、必要に応じた冗長化を持ち、ミラードライブの内容は、いつでもソースドライブの複製として使用できなければなりません。
そこではハードディスクの4次元保護メカニズム(データの長さ/幅、ビット深度、持続時間、時間)の知見が要求されます。
しかし、単なるミラーコピーと言う考えはあまりに簡単すぎて、もう少し説明が必要です。


デジタル時代のIron Bird

MEA(More Electric Aircraft)を含む航空機の、設計およびエンジニアリングでは、統合テストリグである‘iron bird’として知られる概念が存在します。
航空機のすべてのシステム・サブシステムを組み立て、格納庫の床に配置します。シャーシを除いて、飛行機全体の操作は基本的に可能ですが、物理的には空中にありません。

"iron bird"が1985年頃に誕生した頃、飛行機はすでに多くの複雑なシステムが指数関数的に進化しており、‘iron bird’はその過程における「物理/シミュレーションのハイブリッド飛行機」でした。
(‘systems of systems’がまだ一般的ではなかったため、空中テストが増えることになり その結果:莫大な費用、無数の順列と組み合わせ、膨大な開発時間、命の喪失などの問題が起きていました)

"iron bird"の構成要素はすべて検証され、実際に飛行しているかのようなライブ刺激を受け、それに対する反応を出力します。
ただし、エンジン、着陸装置、翼フラップなどとの相互作用は、V & V (Verification and Validation)の度合により、仮想に依存できる場合とそうでない場合があります。

"iron bird"テストは、実世界のフライトと同じくらい良好(検証済み、正確、完全に再現可能)である必要があり、細かなところまで完璧になっていなければ、このテストと概念は目的を果たしません。

航空宇宙V&Vにおける "iron bird"の使用は、物理的なコンポーネントの一部がデジタル/仮想部品に置き換えられ、リアルタイムシミュレーションを使用することで(V&V度合に応じて)、航空機メーカーは高価なプロトタイピングを作らずに済み、莫大な資金を節約できます。

もちろん、仮想モデルは、最終的に実際の運用飛行に移る前に、さらに広範囲なダイナミクス検証と応答検証が必要です。


A Digital Twin: 単なるシミュレータ以上

ここで、複製/冗長性の概念(ハードディスクのミラーコピーを参照)に、ある程度の複雑さ、互換性、および通信を追加すると、リアルタイムシミュレーション(またはHIL)コンテキストにおいて、デジタルツインがより明確になります。

現時点において概念的に、何をするか、何ができるか、何が優れているかという観点から機能的に解明します。

  • デジタルツインは、物理的に動作している対象間でデータを読み取り、ハードウェア/ソフトウェア環境を介して、モニタに伝えます(メンテナンス、ロギング、レポート、制御など)。
    • デジタルツイン(それ自体仮想)は、「実世界」との架け橋です。
  • デジタルツインは、動的モデルとの関連パラメータプロファイルがあり、リアルタイム(もしくは、ほぼリアルタイム)で物理的な対象物と比較してモデル調整をします。
    • つまり 自己適応型です。
  • デジタルツインは、センサーの数が限られているため、内部コンポーネントの相互作用を物理的なコンポーネントよりも、詳細に説明できます。
    • つまり、一歩距離を置くことで、深く観察ができます。
  • デジタルツインは、物理的な対象と同じように応答し、異常な動作、誤動作、および問題の原因特定に役立ちます。
    • つまり、状況認識、意思決定の支援ツールです。
  • デジタルツインは、様々な要因に応答することができ、実際に懸念される物理的対応だけでは予測できない、what-ifシナリオ分析に役立ちます。
    • つまり、予測ツールとして非常に強力で、設計および計画ツールとしても使用できます。


上の図は、電力システムのデジタルツインが、高度な分析、ダイナミックや定常状態でのデータ管理、自動化、およびシステムオペレーターを通じて、実機とどのように相互作用するかを示しています。

これは、再生可能エネルギーの増加と、慣性力の減少が顕在化する状態で、将来の電力システムのライフサイクル全体を含めた、安全で信頼性の高い動作を保証することに役立つ、重要な技術です。

デジタルツインは、それぞれが独自の目的、アーキテクチャ、および数学モデル表現を持つ、複数のインスタンスとして記述されます。

リアルタイムシミュレーション技術は、予測シミュレーションの高速化など、多くのアプリケーションにとって重要な要素です。
その中でもデジタルツインは、設計段階や製品供給後のサービス等の目的に応じて、位相ダイナミック、過渡電磁気、機械学習モデル、目的に応じた「デジタルツインサービス」等など、大規模で複雑な「model of models」として存在感を高めています。


Digital Twins:現状

リアルタイムシミュレーションを取り扱う立場として、(潜在的な用途となりますが)一般的な例を示します。
  • EV(HV含)は、稼働中に車両に関する膨大な量のデータを蓄積できます。
    データはピボットテーブルで作成され、運転者のプロファイル、車の地理的位置、何か役に立つその他多くのデータが様々な視点で、記録、表示、分析されます。
    (いわゆる「ビッグデータ」の長所の1つは、それを無数の角度から読み取ることができることです。新しい角度ごとに新しい洞察が提供される可能性があります)
    これにより、バッテリー管理システムに予期しない動作があった場合や、エンジン部品の交換などの場合に、ローカルガレージまたはエンドユーザーに対する通知を送信できます。
  • 電気事業者は、ロギング/レポート、AI、および膨大な量のデータの組み合わせを通じて、使用状況/消費パターンについて学習し、住宅用ボイラーやヒーターを調整して、十分な予備能力または安定運転を確保することにより、デマンドレスポンスを自動化できます。
  • いずれは、消費財でさえ予測メンテナンスを行うことで、障害が発生する前に潜在的な将来の故障を予測でき、より良い結果に至るすべての可能ルートを分析し、不都合なことが起こることを認識してもらい、ユーザー離れが起きる前にアクションを実行できます。


大きく開かれた未来へ

私たちは、設計、プロトタイピング、定期的な使用、メンテナンス/交換というサイクルの中で、現在と将来を見据えた多くのカテゴリに適用できる流れに乗っています。

最近のさまざまなクラスタリング現象により、このアプローチと関連する様々な技術が可能になりました。ビッグデータ、AI、5Gおよび、より高速なネットワーク、クラウドコンピューティング、IoTなどがそれらにあたります。


「デジタルツイン」は今後の電力網運用にどのように役立つか?

診断、監視、経験、および「what if」シナリオによる予測を通じて、電力システムの安定化に役立ちます。ある意味、デジタルタイムトラベルです。
過去にさかのぼって、集計されたデータの履歴を調べ、今後の結果を予測し、電力網をより良く、より安全に操作する方法を学ぶことが出来ます。また、アップグレードや改善のためのテストカバレッジが、何倍にも向上します。

これらを確実に行うことで、多くの優れた、より詳細なデータセットを提供し、AIトレーニングと出力を、計り知れないほど向上させます。
また、フィジカルツイン(実機)データに基づいて、シミュレーションでは考えられなかった、エッジ/コーナーケースを調査することもできます。

広域障害を防ぎ、グリッドのダウンタイムを減らすための対策を見つけるのに役立ちます。
自律システムの動作を改善し、モデル化されたAIを通じて、シミュレーションシナリオ選択の最適化に役立ちます。

「デジタルツイン」という言葉は、今までかなり曖昧に使われていた概念です。
この思考を組み合わせる進歩の可能性は、リアルタイムシミュレーションのエキサイティングな進歩を約束します。


RT20カンファレンスでのパネルディスカッションの日本語訳






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