〒464-0067
名古屋市千種区池下1丁目11番21号
サンコート池下ビル2階
TEL:052(764)3311 FAX:052(764)3632

フランス国鉄の鉄道車両HILシミュレーション

SNCF Voyageurs

  • アプリケーション
    鉄道
  • 使用ツール
    RT-LAB
    eHS (FPGA-based Power Electronics Toolbox)
  • シミュレーションの種類
    ハードウェア・イン・ザ・ループ(HIL)

イントロダクション

「Société Nationale des Chemins de fer Français(※以降SNCF)」は1938年に設立されたフランスの国鉄会社で、高速鉄道『TGV』を含むフランス全国の鉄道交通を運営しています。

SNCFの子会社であるSNCF Voyageursは毎日15,000両の商用列車を運行しており、500万人以上の乗客や25万トン以上の商品を輸送しています。
SNCF Voyageursの資材部門は、乗客と物流の両方に輸送手段を提供するために17,000両の車両を維持する、という重要な役割を担っています。

高度な運用性とセキュリティを保証するために、この部門はフランスのリヨン近郊にある機器エンジニアリングセンターと連携しています。


このエンジニアリングセンターは、デジタルシミュレーションを通じた検証プロセスの改善を目的として、トラクションチェーン制御用の電子機器のメンテナンスを専門に行っています。
SNCF Voyageursの運用と詳細なHILテストの統合を目的としたプロジェクトコードネームSimHIL(Simulated Hardware In the Loopの頭字語)は、デジタルシミュレーションを用いて列車の電気的な指令と制御の保守を一律に改善することを主な目標としています。

本資料では、SNCF VoyageursとInnovation&Researchが共同で主導するマルチパートナープロジェクトの舞台裏をご紹介します。

OPAL-RTはFlorent Chabrier氏のコメントに謝意を示すとともに、この資料の作成にあたって引用させて頂きました。
※ 本ページはOPAL-RTの同資料を日本語訳したものです。

SNCFVoyageursの「テストおよび検証ツールのMCO」活動の
コーディネーターであるFlorentChabrier
「OPAL-RTのリアルタイムソリューションを数年間使用した経験から、プロジェクトの開始段階から可能な限りニーズを列挙することが非常に重要であると言えます。
これは基本的な考え方のように思われるかもしれませんが、それによって提案されるソリューションや、プロジェクトをサポートするために必要な技術サポートの種類などが決定されます。
その後のフォローアップにおいては、OPAL-RTが開発しているソフトウェアとハードウェアの進化に注意を払うことが重要です。
OPAL-RTの技術的な提案と同様に、私たちのパワーエレクトロニクスシミュレーションにおける要件も絶えず進化しているからです」

チャレンジ

鉄道におけるトラクションチェーン制御電子機器は、全て厳格な検証プロセスに従う必要があり、限界条件でのテスト(機器の需要、高温/低温の閾値、強力な加速、機械的衝撃、ソフトウェアの変更など)が必要になります。

エンジニアは、これらの電子機器をテストするためにHILシミュレーションを体系的に使用し、そうすることで、リスクを防ぎ、この重要なテストプロセスのコストと遅延を大幅に削減します。
最初の目的は、SNCF Voyageursに車両を動員することなく、とりわけリアルタイムで、車載コンピューターに加えられた変更が列車の動作に与える影響をテストできる仮想ツールを提供することでした。

テスト用の(そして優れた)実世界の列車が多数存在するのにも関わらず、同社が仮想モデルについて関心を持つ理由の中に、HILテストによる主要な利点が存在します。

高度に専門化されたプラットフォームソフトウェアとソルバーを備えたリアルタイムハードウェアシミュレーターを使用して、実際の機器がケーブル等で接続されたり、物理的に動作している状況を模擬します。

このシミュレータを用いた構成は、高精度なテストが可能で、実際の構成とほぼ同じように機能するため、実機を用いた場合と違いはほとんどありません。

さらに、実際の列車は非常に高価です。
実際の列車によるテストには数千ユーロの費用が必要となるだけでなく、場合によっては車両や設備に損傷を与える可能性や、あるいは事故などのテストを実際に行った際の関連するコストやリスクが生じる可能性もあります。


今回の場合、HILシミュレーションおよびモデリングツールは、テスト対象のオンボードコンピュータとリアルタイムに相互作用が可能な電気機械式トラクションチェーンを模擬するように設定されます。
制御とフィードバックがお互いに供給され、HILの「クローズドループ」が実現されます。

「SNCF Voyageursでの私たちの挑戦は、実際の動作条件に可能な限り近い状況下での電子制御機器のテストを行うために必要となるシミュレーションモデルを開発することです。
このため、列車のパワートレインを表すために必要となる様々なモデルの開発を可能にするために、様々な材料工学の技術が用いられています。
さらに、リアルタイムHILシミュレーションによって課せられる制約も考慮されています。

これが、SNCF Voyageursがシミュレーションプラットフォームの定義に長い調査と比較分析のフェーズを必要とした理由です。
プラットフォームが定義されたので、新たに評価される事になった各パワートレインは、電子制御機器の制約に適応するためのハードウェアとソフトウェアの開発が必要になりました。」
と、SNCF VoyageursのCoordinateur de l'activité « MCO des outils de tests et validation »であるFlorent Chabrier氏は述べています。

シミュレーター制御ステーションとSNCFVoyageursチーム

ソリューション

この研究プロジェクトの一環として、OPAL-RTは2013年に実際のTGV(Train Grande Vitesse)の運用に対応できるリアルタイムシミュレーションプラットフォームを開発しました。
当時最も複雑で最新のものであったため、TGVがSNCF Voyageursの車両群の中から選択されました。

SimHILの第一の目的はSNCF Voyageursにトラクションチェーンのパワーダイアグラムを十分な精度でモデリングすることが可能なツールを提供することで、モーター制御とトラクションの法則に従って変化する、架線上の拡散電流における固有の特徴的な高調波を忠実に仮想化することが目標でした。
そして第二の目的は、機械モデルの機能におけるエネルギー分布(変電所、架線など)の影響をシミュレートすることでした。

SNCF VoyageursとOPAL-RTの間で広範囲にわたる協議の末、マルチコアプロセッサを搭載したリアルタイムコンピュータが導入され、開発が進められました。
ドライブトレーンのパワーエレクトロニクスモデルは非常に複雑なものだったため、HIL環境の最初のレベル(あるいはドラフトレベル)のパフォーマンスを達成するために、多くの研究とモデリングに関する様々な努力が必要となりました。

OPAL-RTのARTEMiS/SSNのようなツールは、最適な演算時間刻み(タイムステップ)の達成を可能にしました。これらの仕組みは、制御とフィードバックがHILのループの前後で確実に行われるために必要でした。

SimHILにおける「HIL」の「H」はハードウェアを意味します。ハードウェアは車両の挙動を模擬するモデルを動かすシミュレータと組み合わされ、監視用PCからの制御に基づいて相互に作用します。
この一見シンプルな説明の裏には、マルチパートナープロジェクトにおける重要なR&Dのポイントがあります。

SimHILは「電力とダイナミクスのモデル」、「低電圧系のモデル」、そして「ソフトウェアとハードウェアの統合」の3つの部分に分けることができます。
これらはすべて、各プロセスの中で様々な専門知識やコラボレーション、繰り返し蓄積された経験などを必要としました。

同時期に、OPAL-RTではFPGA上でパワーエレクトロニクス回路をシミュレーションするためのソルバ「eHS」が開発されました。
SimHILリアルタイムシミュレーションプラットフォームがこの新技術に切り替えられたのは2018年の終わりでしたが、これにより仮想環境での検証を行うために目標とされていた演算時間刻みの実現を達成しました。

モデルの正確な演算は最も重要であり、SNCF Voyageursは今後の更なる開発プロセスにおけるOPAL-RTからのサポートを期待しています。

結果

シミュレータの活用の機会は増加しており、そのさらなる開発も急速に進んでいます。

SNCF Voyageurs Equipment Engineeringは、当初から「構成が柔軟で拡張性があり、モジュール式であること」という考えを抱いてきましたが、今日では従来の手法と異なる、トラクションチェーンコントローラと組み合わせることが可能なツールを活用できるようになりました。(※OPAL-RTは、お客様側でのニーズの進化に合わせた機能拡張や開発をサポートするために、長期間に渡って有効なモジュラー式で拡張可能なコンポーネントを提供しています)

シミュレータのパフォーマンスとOPAL-RTの開発チームによる強力なサポートが組み合わせられることにより、SimHILはお客様の社内で仮想ソリューションを求める声に対して、その有効性を示します。

主な目的は、設備と人員の両方の安全性に関連するリスクを最小限に抑えながら、実機や実環境でのテストにかかるコストを削減することです。

さらに、当初はシミュレーションツールに関して慎重であった鉄道に関する規制は、本資料でも取り上げられているHILテクノロジーに関する判断が前向きに変化してきていることなどを受け、改訂され始めています。


SNCF Voyageurs Equipment Engineeringでは、管理職とエンジニアのそれぞれにおいて、より環境に優しい未来に向けたパワートレインの性能とエネルギー消費を最適化するためにはこれらのツールが不可欠であると認識されています。

オンラインテストの大部分がHILシミュレーションを通じて実行される可能性があることを実証することにより、規制などを管轄する当局からの信用が得られるよう、さらなる努力が注がれています。
これらのツールがさらなる進化を遂げることにより、現在SNCF Voyageursで用いられているツールと、SNCF Voyageursが直面している取り組みの状況を表すモデルの双方の性能や品質を飛躍的に向上させます。

将来の技術的課題として、かつてないほど非常に短い演算時間刻みの達成が含まれています。
これらのシミュレータは、今後ますます拡大していく適用範囲に対してこれまで以上に活用されていくことになります。

HILシミュレータとそれらに関するシステムの整備は新しいプロジェクトの限られた時間と予算内での対処や、SNCF Voyageursが日常的に対処しなければならない緊急事態への対応において非常に重要な事となっています。

お問い合わせ先
株式会社 NEAT
愛知県名古屋市千種区池下1-11-21
TEL:052-764-3311FAX:052-764-3632

Opal-RT Technologies,Inc.
1751 Richardson, Suite 2525 Montreal, Quebec, Canada, H3K 1G6
TEL:+1-514-935-2323FAX:+1-514-935-4994

* 記載の会社名および製品名は、各社の登録商標および商標です。