スマートグリッド・マイクログリッド実証実験
太陽光発電や風力発電等の様々な分散エネルギー発生源と、蓄電池システム等のエネルギー貯蔵装置を備えた
最新の家庭内配電システムについての、詳細なマイクログリッド実証実験システムの結果です。
この実証実験システムは、複数の家につながっている実際の配電システムの、リアルタイムシミュレーションが可能な様に設計されています。
さらに、一般家庭にある家電や電源が装備された実際の家が、
Power-HILSインタフェースを通してeMEGAsim リアルタイムシミュレータと接続されています。
Fig1
スマートグリッド・マイクログリッドはエネルギーの供給と需要を、配電網で適正にコントロールする必要があります。
このコントロールマネジメントシステムは単純なエネルギー効率の向上ということだけでなく、
配電網において起きる様々な問題の検討が必要となります。
スマート配電網という概念には、消費者がエネルギーのピーク時の使用を減らすことや、ピーク時間以外にエネルギーを使用する様にしてピーク時間への集中をなくし、トータルのエネルギー消費を減らすなどの活動も含まれております。
また、ユーザーサイドで生成される太陽光発電、風力発電、その他の分散電源などのエネルギーを系統に送ること等、積極的な方法も検討されます。
電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の普及も、バッテリーにエネルギーを充電するなど系統に大きな影響を与えます。
スマートグリッド・マイクログリッドの設計には、個々の電気製品や設備がエネルギーをどのように使っているかを、充分に理解する必要があります。
実機を含めたスマートグリッド・マイクログリッドシステム
OPAL-RTはスマートグリッド・マイクログリッド実証実験システム用の、リアルタイムシミュレータを開発しました。
この実証実験にはeMEGAsim パワーHILSによってコントロールされる、10KW のアンプがつながった実際の家が含まれています。
この家には電気製品や燃料電池、太陽光発電やその他将来一般家庭に装備されそうな様々な装置が備え付けられています。
システム構成はこのような家々を統合し、マイクログリッド網の中でエネルギーを系統に戻す仕組みになっています。
このような配電網と配電システムは、それぞれの家におかれたインテリジェントな家電等の機器と電力網間の相互作用で、非常に複雑になっています。
たとえば、連系用要配電線が切れて電力網から分離されたらどうなるのか。また、それぞれの家におかれたどの分散電源が電圧や周波数をコントロールするのか等など、解決しなければならない問題は非常に多くあります。
マイクログリッド実証実験はeMEGAsimリアルタイムシミュレータ内に置かれた配電回路に
各家庭の負荷電流を注入することで、電力網と家庭内の機器との相互関係を解析します。
そこで得られた配電線電圧値が、パワーHILS接続により各家庭の実際の配電電圧として出力されます。
The simulator, amplifier and house form
a closed-loop system
Problem: the become under certain operating conditions
実機を含むクローズドループシステムの安定性
ガスエンジンとマトリクスコンバータを使った事例
クローズドループシステム上のシミュレータ、アンプ、家は、ある動作条件下では他のクローズドループシステムと同じように不安定になることがあります。
このような不安定な状態についても本実証実験では取り上げています。
このような現象はすでに大阪大学 伊瀬研究室で発表された論文でも言及されています。
"M. Hong, S. Horie, Y. Miura, T. Ise, C. Dufour, “A Method to Stabilize a Power Hardware-in-the-loop
Simulation of Inductor Coupled Systems”, Proceedings of the International Conference on Power Systems
Transients conference (IPST-09), Kyoto, Japan, June 2-6, 2009."
この事例は日本で初めて、クローズドループテストのリアルタイムシミュレータについて本格的に検証されたものです。
バーチャルと実機が絡み合うPHILSでは、システム構成上の問題から来る周波数の制限、ノイズ、時間遅れなどの原因から、システムが不安定になることがあります。
マトリクスコンバータを含んだガスエンジン・コージェネシステムについて、OPAL-RTシステムを使いPHILSを構成されています。
発電機は同期機で、相対的に大きな内部インダクタンスを持っています。
一方マトリクスコンバータは発電機との間にフィルタがあり、インダクタンスとキャパシタを持っております。
実験に使った回路は、発電機の系統連系従来のac/dc/acコンバータの代わりにマトリクスコンバータを使用しています。
このモデルでは、ガスエンジンとPMSG発電機はMatlab/Simulinkを使いモデル化されています。
モデルはホストPCでコンパイルされ、Opal-RT PHILシミュレータにダウンロードされます。
PMSGからの電圧出力は、シミュレータのD/Aコンバータを系由し、アンプを通して出力されます。
アンプからの電圧出力は、実機としてのマトリクスコンバータを実際に駆動させることが出来ます。
マトリクスコンバータとコントローラは、このシステムのHUT(Hardware Under the Test)となり、
マトリクスコンバータの入力電流がシミュレータのA/Dコンバータを通してフィードバックされます。
フィードバックの電流回路に故意にゲインが設定されてますが、このゲインはシステムの安定性を解析するために挿入されたものです。
PHILを実行する為には、このゲインを1に等しくする必要があります。
すなわち、発電機の電流をそのままフィードバックする必要がありますが、システムが安定でない場合はゲインが1以下で発振をしてしまうという問題があります。
PHILシミュレーション結合されたインダクターは、非常に短い時間遅れが生ます。
HILSの事例では、シミュレーションの安定性を確保する上で最も重要なものとしてインダクターの値が挙げられる事がわかりました。
アンプを介してバーチャルとリアルの装置を接続する場合、シミュレーションを安定させる為には、シミュレーション側のインダクター(L1)を実機側のインダクター(L2)より小さくする必要がある事がわかりました。
すなわち、L2/L1の値が非常に重要という事となります。
このような配慮をすることで、PHILSをパワーエレクトロニクスの回路で安定して使う事ができるようになりました。
図はインダクターの値を正しく調整した場合、PHILシミュレーションの結果とオフラインシミュレーションの結果がほぼ同じになることが確認された事を現しております。
これにより、バーチャルな世界(モデル)と実機をつなげたシミュレーションが精度良く行なわれることが証明されました。
注:参照 IECON2011 「Smart Distribution Grid Laboratory」
お問い合わせ先
株式会社 NEAT
愛知県名古屋市千種区池下1-11-21
TEL:052-764-3311FAX:052-764-3632
Opal-RT Technologies,Inc.
1751 Richardson, Suite 1060 Montreal, Quebec, Canada, H3K 1G6
TEL:+1-514-935-2323 FAX:+1-514-935-4994
* 記載の会社名および製品名は、各社の登録商標および商標です。