パワーエレクトロニクスにおけるHILSの特徴
スマートグリッド/マイクログリッド
スマートグリッド・マイクログリッドとリアルタイムシミュレータ
スマートグリッド・マイクログリッドでは、発電所から送電網・配電網を通して 、一般需要家と呼ばれる、家庭や工場の地域全体が対象になります。グリッドと呼ばれる電線の長さは数百Kmに及び、使われる機器も数千V、数千Aと巨大なものになります。
このような装置を実験室に置くことは不可能で、そのテストには公的な機関を巻き込んだ実証実験に頼らざるを得ません。
しかし、これは誰にでも出来ることではなく、また、故障などの実験を実際の送電網・配電網を使って行うことは出来ません。

スマートグリッド・マイクログリッドとHIL(Hardware In the Loop)
スマートグリッド・マイクログリッドでは、電力システムやそれが接続される様々な パワーシステムを、どうコントロールするかが非常に重要な要素となります。電力会社等では、実際の電力システムの数十分の一というような巨大なシミュレータを用意して、 最適なコントロールアルゴリズムを検証しています(アナログシミュレータ)。
しかし、この手法は誰にでも出来るものではありません。
リアルタイムシミュレータを HIL(Hardware In the Loop)として使用して、実際のネットワーク装置(FACTSコントローラ等)と、PC上に置かれたバーチャルな電力網を接続することで、 現実の電力網とあたかも繋がったような環境を用意することが出来ます。

従来から行ってきた手法をベースとしながらも、モデルベース開発を推進することで非常に大きな効果が期待できます。
HILS(Hardware In the Loop System)

現実のシステムで起きている現象 | HILSで構築された世界 |
右側がモデルに置き換えられます
スマートグリッド/マイクログリッドのHILS
- 大規模シミュレーションがPCベースのシミュレータ上で実現可能
- MATLABR/SimulinkR で予め用意されているモデルを使うことが可能
- テストパターン等により、自動テストを実施することが可能
- 電源の様々な状態(電圧変動、発振、高調波、位相変動、パルス重畳など)や事故現象(接地、短絡、断線など)の結果が簡単にシミュレーション可能
- アンプを通す事により、シミュレータのD/A出力を実機に対してそのまま入力することが可能
- 大規模シミュレーションがPCベースのシミュレータ上で実現可能
- MATLAB/Simulink、Simscape Electrical™(旧SimPowerSystems™)を覚える必要がある
- HILシミュレーションには、経験と構築の為の努力が必要
- 制御モデル、フィジカルモデルと分けてそれぞれの精度を考える必要がある
- 詳細なフィジカルモデルを作成するためには、ある程度の実機データが必要
- 実現象に対して、周波数応答(数十μsec~)の遅延制限がある
- モデルの管理が必要になる